母の日に花を持って実家を表敬訪問してみたところ、煮ていたおからと、正月に買って飲み逃していたというシャンパンをもらう。という「えび鯛」なことに。これは内田百ケン『おからでシャムパン』を実行するチャンス!
百ケン先生のお好みではおからは醤油を使わず真っ白く仕上げ、銀杏を散らし、レモンを絞って召し上がられたようですが、こちらは普通にお惣菜的おから。それでも心楽しく、美味しく頂きました。
作品の中の酔っ払った気分の描写がいいのです。
相手がゐなくても、酒興に事は欠かない。コップを二三度取り上げる内に、すっかり面白くなって来るから面白い。頭の中がひどく饒舌で、次から次へといろんな事がつながつたり、走ったり、不意に今までの筋からそれたり、それたなり元へ戻らなかつたり、そこから又別の方へ辿ったり、実に応接にいとま無しと云ふ情態になる。傍にだれもゐない方が面白い。
(『おからでシャムパン』内田百ケン/『酔っぱらい読本・壱』講談社より)